
- DX人材にはなんで自社の仕事を理解している必要があるの?
- 自社の仕事を知っていることでDX導入際してどんなメリットがあるの?

DXの導入にはよく自社の仕事をを理解している人が重要と言われます。

DXを進めるにはAIのようなスキルだけでなく自社の仕事を理解している人がいないといけないのでしょうか。
その理由は、DXと言っても企業ごとによって導入の仕方や導入の技術が変わってくるため、自分達の仕事がどういうものなのかを理解していないと見当違いのDXを導入してしまうことにあります。
この記事ではなぜDXを進めるには、自社の仕事を理解している人がいることで具体的にどのようなメリットがあるのかということを解説していきます。
この記事を読むことで、DX導入際して実際に自社の何を理解している人がDX人材としてふさわしいのかということがわかります。
目次
自社にDX人材がいないことで起こる問題

自社にDXといったことを理解している人材がいるかどうかは重要ですが、どういったことで問題が起きるのかということを理解するためにまずは、従来のITによる解決の部分と比較してみてみましょう。
従来のソフトウェア開発で起きた問題
従来のソフトウェア開発でもプログラミング技術を持っていない人がベンダーに開発依頼をしたことで様々な問題が発生しました。
今後DXやAIでも同様の問題が起こると考えられますので、従来に起きた問題を考えてみましょう。
何をソフトウェアでやらせるか
通常の会社では業務フローがあり、この業務フローに従って従業員が仕事をすることになりますが、機械的に仕事をする部分と人が判断しないといけない部分があるといえるでしょう。
ソフトウェア開発ではこの機械的な部分をITの力で自動的に行うことで業務効率を改善してきました。
ここで重要なことは業務が先にあり、業務の中で自動的にできる部分と人の判断が必要な部分を切り分けることでIT化することができたということです。
つまり、どこをITの力で解決させるかを決める基準が自動的な部分かどうかということでした。

どうやってソフトウェアでやらせるか
どこをIT化するかが決まったら、どうやって解決するかになります。
すでに自動的な処理というのが決まっているのであれば、それをプログラミングで実装するためのロジックに落とし込むことが必要になりますが、この時にプログラミングの知識を多少なりとも持っておく必要があります。
ここでプログラミングの知識を保有していないと大抵、クライアントとベンダーで齟齬が生まれます。

クライアント側で現状の業務を紹介だけをしてしまいそれをベンダーがロジックに落とし込みますが、クライアントの人がプログラミングの構造などを理解しておらず、実装したら結局違ったということになります
こういった問題はよく起こります。
結局、現在の自動的な業務であってもプログラミング上で実装するにはどうすればいいのかということを理解していないとクライアントとベンダーで理解できないという事態になります。
DXで起きると思われる問題
今後、DXの人材がいないことで従来のソフトウェア開発などで起こっていた問題がDXの部分で起きると予想されます。
ここからはDXの場合に当てはめてどういった齟齬が起きるのかということを見ていきましょう。
何をDXで解決できるかがわからない
これまでは、業務フローの中で自動的に処理できる部分をITの力で解決し、人間の判断の部分は人間が解決してきました。
しかしながらDXはデータを活用することで人間の判断の部分を解決・アドバイスしてくれる存在です。
DXによるデータ分析で何が分かるのかといったことを理解しておかないと業務の中のどの判断にDXを取り入れるのかということがわからないといえることができるでしょう。

特にAIの場合、判断も万能ではないことなどから業務の中でどれをAIに任せればいいのかということはAIの癖や構造などを理解していないと導入できません。
業務フローの中でどこにDXを導入すればいいのかということは従来のソフトウェア開発よりも難しい判断が必要であり、DXのことを理解していない人が行うと予想外の問題などが発生することになるでしょう。
どうやってDXで解決できるかわからない
業務のどこをDXで解決するかが決まっても、DXでどうやって判断を人間の判断のためにデータを活用すればいいのか、DXの手法の一つであるAIに判断させるためにどうやって実装すればいいのかがわからないということも問題になります。
業務のフローをプログラミングのロジックにすることは簡単でした。
例えば請求書が10万円以上の場合は部長の決裁が必要といったことが従来のロジックの主たる部分でした。つまり条件に合致する場合と合致しない場合を繰り返して行うことが従来のソフトウェアが解決したことです。
しかしながらDXで業務の判断をアシストする場合、現在の判断がどのようなデータをどのように利用しているのかが分からないとどのようにDXで解決できるのかということがわかりません。
AIでも同じことが言えます。
AIは無から生まれるわけではなく人間が判断を行い人間が作成したアルゴリズムに基づいて判断します。
このアルゴリズムの作成は人間が行うことになるので、アルゴリズムがどのように作られているのか概念だけでも理解しておかないとAIが変な判断を行なってしまい業務が却って混乱することにもなりかねません。

AIに判断を行わせるには人間が判断のための過去の材料を与える必要がありますが情報が欠落した状態でAIを構築してしまうと精度が落ちることになります。
例えば、ワインのアルコール度数を予想するAIがあったとします。ここで人間が次の情報を提供したとします。
・産地
・年代
・赤か白か
こうなると予想判断のためのAIは完成します。
しかしながらブドウの品種などもアルコール度数を決める際には重要であるというように考えれば、アルコール度数を決めるためのアルゴリズムの作成で重要な情報が欠落しているということができます。
特にDXではデータの分析がメインであることを考えれば、データをどのように分析するのかということを実際に理解していないと適切なデータ分析ができないということになります。
DX人材がいないことによる具体的な問題

ここまでで自社にDXを理解している人材がいないと二つの問題があるということを説明しました。
- DXをどこに活用するかがわからない
- DXでどうやって解決するのか
ここからは具体的にどのような問題が発生するのかということを見ていきます。
DXのためのデータが社内の人でないとわからない
基本的にDXとはデータの活用によるビジネスの変革になります。
そのため、DXを行うにはまずデータというものを理解しないといけいないことになりますが、自社の人間でないとできない重要なこととしてデータの収集場所やデータだどのように変化しているのかがわからないということです。

導入に際してITのコンサルなどに説明するということで考えるのも一つの案ですが、ITのコンサルも担当会社の全てを知っているわけではありません。
ITコンサルもこちらが提示した情報などを中心に理解しているだけなので逆にいうとこちらが当たり前と思っていたことをコンサルがわが知らなかった場合に齟齬が生まれる可能性があります。
ITコンサルに依頼するにしてもデータの流れなどは自分達で把握しておくことでより円滑にDXの導入がうまくいくことになります。
データの収集
確かにデータをネット上から収集することもできますが、基本的にDXとはデータを活用して社内の業務効率化やビジネスの発展が目的です。
そのためDXの方法によっては、活用するためのデータというのは社内や企業の活動の中から集める必要があります。

昨今の企業活動はデータのやり取りが中心になっていることもありどこでデータが発生しているのかということを理解するには社内の人間でないと全容を把握しきれないということもあります。
簡単な例で言えば、請求書の入力業務はどこで行なっているのでしょうか。
企業によって各部署で入力していたり、特定の部署が一括して入力していたりなど企業ごとに入力する部署や手法が違うということが言えます。
データの発生地点がどこなのかを理解するためにも自社の人間がしっかりと調査を行う必要があります。
データが最終的にどのような形になるのか
データの収集の際には、最終的にどのような形が必要なのかということを考えないといけないと言えます。
例えばAmazonのようなサイトで個人情報を収集することを考えてみましょう。
この際にデータの収集の際の入力項目によってデータの活用方法が変わります。
住所の項目に都道府県と市町村を分けて入力させるようにしておくことで、今後の調査の際にどの都道府県にどういった商品を購入する人が多いのかということがわかります。
もしこの段階で都道府県と市町村を同じ入力エリアの中で入力する必要があったら、調査をする際に住所の中から都道府県と市町村を分けるというデータの処理が発生してしまいます。
今回の例では簡単な例にしてありますが、実際にAIやデータサイエンスによってデータを分析するということになった場合は目的に沿ってデータを収集をすることが非常に重要です。

データの流れを考える
データというのはあらゆる部分から集めることができます。
AmazonのようなECサイトでは顧客情報のデータの他に購買情報のデータも集まってきます。
顧客の情報と購買情報は別のところから発生しています。
最終的にデータを分析する際には個人の趣味といった情報と実際の購買データを結びつけて分析する必要がありますので、顧客情報と購買情報を結びつけた状態でデータは必要になります。
データの総合的な流れは、自社の業務を知っている人でないと理解することができません。
DXとはデータの活用ですが、活用される段階に至るまでに「データがどこで生まれるか」「最終的に必要なデータの形がどういった状態なのか」を理解し、データがどのように加工されデータ同士がどのように結びつけられるのかを理解する人材が必要ということになります。
自社の文化に合ったDXが何かを考え失われることを考えられる人は社内の人間
DXを進めすぎてしまい、その企業が持っていた価値というものが失われる危険性ということも考える必要があります。
確かにDXによって業務効率ができたとしても、そこに失われてはいけない文化があるということもあります。
例えば東京観光で人力車に乗るということがあると思いますが、どう考えても非効率です。
これは人力車に乗るということそのものにに価値を見出していることになりますが誰も乗らないほうがいいというようなことをいう人はいません。
多くのDXに関する事例では導入に際して、現場から反対の声があがりそれがDX導入の妨げになっているということがあります。
その理由の一つに、企業しか知らない顧客への価値が減るというものがあります。
企業によってDXによって顧客に提供している価値が奪われてしまってはDXによってむしろ企業の価値が下がってしまうということにもなります。
例えば、旅館といった宿泊ビジネスを考えてみます。
次の例では旅館がDXを取り入れている事例になります。
ここでは、DXを取り入れることで顧客への価値をむしろ増大させています。
しかしながらDXを進め過ぎてしまい、ロボットホテルのようになってしまってはどうなるでしょうか。
確かにデータを活用して顧客に満足いくサービスをロボットで提供することで旅館に泊まることができるかもしれませんが、旅館が提供できる価値というものがなくなってしまいます。
となればDXの導入で失われる価値も考えつつ、自社が提供している価値が何なのかということを理解し、満足いくサービスを提供するために導入されるべきということになります。
他にもDXではないですが、デジタル化を進めてしまし高級レストランにもかかわらず全部がタッチパネルでの注文だとどうでしょうか。
タッチパネルで注文が許されるのは居酒屋チェーンやファーストフード店、ファミレスといった業態までではないでしょうか。
自社の強みを理解し、その風土のあった形のDXを導入しないと却って会社のイメージが失墜する可能性があります。

導入の戦略を考えられる人は社内の人間
企業の文化を考え、DXの導入のための戦略を考えられるのは自社の文化を理解している人になります。
DXの導入で一番の課題が既存のビジネスモデルになれてしまい、従来の従業員がDXによって仕事が奪われてしまうと考えてしまうことにあるため、DXの導入に後ろ向きになってしまうわけですがこういった考え方の人たちを動かすことは容易ではありません。
となると、全社的にDXを導入するよりもまずは導入できそうな部署から導入しDXに慣れることで全社的にDXを導入するなどの戦略が必要になることもあります。

部署によってはDXといったITに前向きな部署もあるかもしれませんし、前向きでない部署もあります。
こういった企業の文化を考えて、どうすればDXを導入することができるかを戦略的に考えられるのは自社の仕事や文化・風土を理解していることで実行できることです。

自社に導入する戦略というのは自社で考える必要がありますが、技術的な側面などからどのように戦略性を持つかということも重要になります。
戦略的に導入するように自社の人間が導入を主導していきましょう。
まとめ:自社の業務を理解している人をDX人材にしてDXを成功させよう

DXは企業ごとに内容や進め方が違うためDXを成功させるには自社の仕事や文化を理解している人が重要です。
特にDXでデータの分析を行うということを考えれば、分析対象のデータの収集は自社の中で集める必要があるります。
自社でどのようにデータを収集することができるのかといった自社の業務を理解している人材でないとDXの構想自体が崩壊する可能性すらあると言うことができるでしょう。

また、こういったデータの収集では実際に活用することがDXになりますが活用方法まで知らないと適切なデータの収集の仕方がわからないということもあります。
当サイトでは、実際のデータの分析手法であるAIやデータサイエンスが学べるスクールを紹介しています。

実際にデータがどうやって利用されているのかということを実装レベルで理解することで実際のデータの収集方法などまでわかるといえます。
データの活用部分を実装レベルまで学習してDXを成功に導いてください!