
- 経営者層としてDXを進めたいけど何をすればいい?
- 現場目線から考えた傾斜層に必要なことって何?

経営者層としてDXを進めたいけど、どうすればいいのかということでお困りかと思います。
確かに従業員にITスキルなどを身につけさせるということもDX推進のために必要なことです。
しかしながら、実際にDXの導入に向けた現場サイドとして活動している身としては経営者層に必要なことはDX人材にITスキルの習得をさせるだけではないということができです。
ここには企業というものは、多くの人間から成り立っているため次の二つの問題があるからです。
- 技術的な問題
- 組織・企業的な問題
技術的な問題はITエンジニアやDX人材に任せる必要があります。
一方で経営者層にはDXと企業の方向性を決める役割がありますので経営者層がDXをすすめるために必要なことはIT技術に関する知識の習得よりも大切なこと組織的な問題や企業的な問題の解決になります。
この記事では、実際にDXを企業で進めている身として感じている経営者層に必要なことを解説していきます。
経営者層としてDXをすすめるために必要なことを理解して、自社のDXを円滑に進めてください!
目次
ビジネスを発展させるマインドセットを持つ

何よりも経営者サイドに重要なことは自社のビジネスを発展させたいというマインドセットです。
多くの企業の経営者では競争力強化や、新たなビジネスモデルの創出に向けてDXが重要ということを理解しています。
▶︎参考:経産省「DXレポート」
そこでDXのアイデアを持っている人たちが提案しても、実際のところなかなか承認が降りないということがよくあります。

確かになんでもDXを進めればいいというわけではありませんが、実際のところ言っていることと行動が矛盾しているということは起きています。
もちろん、実行に向けて色々な課題があることも事実ですが、却下された場合はどのような理由なのかということを明確にする必要があります。
- 現場が反対している
- コストが合わない
- リターンが不明確
経営者サイドとして一番難しいのが、現場が反対しているということだと思います。
しかしながら、2025年の壁と呼ばれる問題があるように既存のシステムをこのまま放置しておくと場合によってはより大きな損失になることも考えられます。
そのため、経営者層には強いリーダーシップを発揮してもらうということが重要になります。
リスクとリターンを見極めて方向性を示す

DXを推進する場合にはメリットとデメリットがあります。
これらのメリットとデメリットを理解しどういった導入を行うのかという方向性を示してもらうことが経営者層の大切な判断になります。
特に日本企業の場合はリスクの方を注視してしまうことは意識しておいてもらいたいといえます。

日本の場合リスクとリターンを考えた場合にリスクの方に重点が行ってしまいがちということがあります。
もちろん、DXは既存の業務なり、ビジネスモデルの変革なりを行うためリスクがありますしこのリスクを無視していいということにはなりません。
しかしながら、リスクばかりを考えてしまいリターンを無視してしまうことも問題です。

大切なことは、いかにリターンを大きくしながらリスクを最小限にするのかを考えることです。
例えば、いきなり全面的なDXを行うのではなく、スモールスタートでDXを行うということが考えられます。
DXを推進するにしても、他にいい案がないのかといった幅広い視点などを持つことも重要といえます。

自社にとって何が大切なのかということをしっかりと理解し、そのために適切なDXのリスクとリターンを見極めるということが大切になります。
現場の意見を尊重する

経営者ともなるとついつい、現場に細かく指示をしたくなるかもしれませんが経営者として方向性を示すことに注力し、実際に現場が行う技術的な作業には口を出さないということも重要になります。
特にDXともなると、ITに対して深い技術が必要ですしDXを基盤にして長期的な運用をしないといけません。
ここで経営者層が技術的な部分に対して口を出してしまうと運用面で支障が出てしまいます。

特に技術的な部分で課題が発生している場合、現場に課題を解決させる方法を考えさせ、その解決の場合に元の目標が変わってしまう場合に、それでも進められるのか進められないのかと言った判断をすることが重要です。
ここの部分を無視してしまい、経営者の判断で現場の課題を理解せず導入を押し進めてしまうと今は良くても今後の運用業務に支障をきたすことになります。
運用の段階で支障をきたしてしまうと長期的な視点で考えた場合に企業活動の事業停止という自体になる可能性を孕んでいます。
みずほ銀行の問題でも経営者層が現場を理解できていないことが言われました。
それよりも問題なのは現場から上がった課題を理解せずに押し進めたことではないでしょうか。
ITの技術は専門的で非常に複雑なものですから、経営者層に理解を求めるのは難しいといえます。
一方で現場からこういった導入の際の課題があがっていなかったということは考えられませんのでこうした現場からの意見を尊重することが経営者層には重要といえます。
特にITの技術はわからない人からすればブラックボックスになりがちですが、実際は裏でエンジニアの人たちが色々と努力をしてくれているからこそITは利用することができます。
もちろん現場の意見を聞き過ぎてしまうと企業活動の方向性がおかしくなる可能性もありますが、企業としての方向性を見出した後は現場からどのようなことで困るのかといった意見をしっかりと聞くことが長期的視野による企業活動が成功する鍵です。
抵抗勢力に対して説明し導入のサポートをする

DXが進まない多くの原因として言われることが、DXを実際に利用する人たちが抵抗するということです。
特に日本の場合、自分達の仕事に誇りを持っていることが多いことなどからDXによって仕事が奪われると考えてしまう傾向にあります。

そもそも、DXとは既存の業務を失わせるということが目的ではなく、業務の効率化やビジネスモデルを変革しビジネスを発展させることが目的です。
すでに業務に携わっている人たちは自分達の仕事が奪われると言って抵抗してきますが、その言葉の裏にはその仕事に誇りを持っているということが大半です。
そのため、よくあることが経営者と現場での意見の対立ですがここにはそもそも共通の基盤が話題にあがっていないということがあります。
例えば、製造業などで営業からは技術者に今の商品に付加価値をつけてほしいと考えます。
一方で技術者からすればその付加価値をつけたくないと考えます。
ここでは付加価値をつけることで利益が上がるという視点と、付加価値をつけることで作業工程が増えるためコスト増になってしまうという視点の二つがあります。
しかしながら共通しているのは利益を上げるという視点ですので、営業と技術者ではこの利益という視点でお互いに会話する必要があるということができます。
現場側からすれば、自分達がやっていることで顧客に価値を提供できているのにこれがDXによって奪われてしまうというように感じてしまう可能性があります。
一方で経営者層からすればDXの導入によって業務の効率化と顧客への価値をより高められるということがあります。
この場合、ここでの共通の話題は顧客への価値提供です。

日本の場合は縦割り社会とはいえ和を持って尊しとなすという文化があります。
現場の意見をトップダウンで解決するのではなく、お互いの話の裏にある価値が一体なんなのかを見極めて、それをお互いに擦り合わせるというコミュニケーションによって、DX推進のための抵抗勢力に向き合う必要が経営者層にはあるということができます。

DXが起きるための環境を整備する

DXのためのアイデアというのは基本的に現場から生み出されるものです。
そもそもアイデアというものは「何か」×「何か」から生まれるものになります。
ではDXの場合の「何か」に何が当てはまるのかというと次の二つになります。
- 自社の仕事
- ITの技術
つまり、経営者層に大切なことは経営者層ができることはアイデアを生み出すための環境づくりということです。
そのために従業員には自社の仕事を色々と経験させるとともにITの技術を色々身につけさせることが重要になります。
ITの学びの場を作る
従業員にITの学びを行うための環境を作りましょう。
このとき、ITエンジニアに勉強させるのではなく実際に業務を行なっている人にITの知識を習得させることにあります。
このとき習得させる知識としては二つのことがあります。
- ITで何ができるかという理解
- ITのスキル
DXによる業務の改革というのは、どうしても長期的視点で考える必要があります。
ITでできることだけを知ってDXを進めてしまうと技術的な部分をベンダーにほとんど依存してしまうことになってしまいます。
もし技術的なことを全てベンダーに頼ってしまうと、10年後などに更なるDXを進めようとするとベンダーに頼らないといけなくなってしまうといった問題があります。

もちろんベンダーに依頼するということも大事ですが、自社である程度のITスキルをもった人間を置いておき、ベンダーに依頼する際にも技術的な実装を依頼するなど依頼内容を明確にしておくためにも従業員にITの知識を学ぶための場を設けることが重要といえます。
さまざまな業務を経験させる
DXのチャンスは企業のさまざまな場所に眠っているということができます。
そのため、ITの知識を持っている人をさまざまな仕事の現場に行かせて経験させることが重要になります。

また、DXの推進は場合によっては全社的なプロジェクトになる可能性もあります。
そのため、各部署から人が集まることも重要かもしれませんが、全体の仕事を浅くても構わないので全体的に知っている人間がいることでどのようにDXをすすめるのかということを戦略的に進められることができます。
まとめ:経営者は経営者にできることを行おう

DXの推進はこれまでのビジネスの発展の仕方と大きく違う点があります。
それが、技術的に複雑なITの力を使わないといけないということですが、ITの技術は広範囲に及ぶため経営者がいきなりITの知識を習得しようとしても難しいと言えます。

大切なことは経営者は経営者にしかできないことを行うということです。
それは、DXの内容ではなく概要や方向性を理解し全社的な取り組みのための環境を整備することです。
企業によってDXの進め方が違うため一概には言えませんが理想の形は次のようになります。

経営者の人はDX人材にふさわしい人材が誰なのかを見極め推進のための環境づくりということからDX推進をサポートしてください!